当社グループは、既存事業の拡大と並行して、2030年にはグループを支える新たな柱とするべく、新規事業の構築を進めています。安心安全、便利快適、健康維持、低炭素社会、サステナビリティを新規事業の戦略キーワードとし、「環境・バイオケミカル」「エナジーケミカル」「エレクトロニクスケミカル」「オプトケミカル」の4つのケミカル分野を注力分野として、研究開発と事業化に向けたオープンイノベーションを推進しています。
その具体的な取り組みのひとつとして、「エレクトロニクスケミカル」分野では、プリンテッドエレクトロニクスの展開を進めています。プリンテッドエレクトロニクスとは、印刷技術を用いて、基材の上に電子部品や回路などを形成する技術で、従来方式に比べ製品そのものの軽量化や薄型化が可能となる、現在、注目されている技術です。
当社は、IH(電磁誘導)を使った“はんだ”接合技術(IHリフロー技術)を持つ株式会社ワンダーフューチャーコーポレーション(以下、WFC社)と、当社関連会社でEMS事業大手のシークス株式会社と連携して事業展開を進めています。
当社は、この優れた IHリフロー技術を生かすための素材開発を担当しています。現在提案しているものとして、フィルムや樹脂、紙といったフレキシブルな低耐熱基材に対応し、IHリフローによる加熱が可能な配線材料、低温・短時間で焼成可能で、IHリフローによる接合も可能な接合材料、優れた電気特性をもち、フォトレジストが不要で、絶縁膜のダイレクトパターニングが可能な透明絶縁材料や封止材料などがあります。これらを組み合わせることで、革新的プロセス技術と新規デザインの提案を可能にすると考えています。また、この技術は当社グループ企業であるシークス株式会社の量産実装とプロセス開発技術を融合することで、これまでにない新しい製品の実現が可能です。新たな価値を創造するバリューチェーンと、ものづくりのトータルソリューション構築も目的として、3社による協業を進めています。