トップメッセージ

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サカタインクス株式会社 代表取締役 社長執行役員 上野 吉昭

サカタインクスグループは、2021年に長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」をスタートしました。
現在、その達成に向けて、3年ごとに『基盤構築』、『事業拡大・収益力強化』、『長期ビジョン実現へ』をテーマとした中期経営計画を策定し、戦略の方向性に基づいてさまざまな取り組みを推進しています。
社会情勢と経済環境が大きく変動する中、長期ビジョンの実現を目指し、サステナビリティと資本コストを意識した経営の実践に努めています。

5つの重要課題を掲げ、サステナビリティ経営を推進する

当社グループが2030年を見据えて策定した長期ビジョンでは、サステナビリティ経営の強化を重要な柱として、5つの重要課題を掲げています。

その1つである「持続可能な地球環境を維持するための活動」では、2030年を目標としたKPIの1つとしてGHG(温室効果ガス)の50%削減を設定しています。生産の効率化や省エネルギーなどの取り組みを推進しており、2022年度末ですでに30.5%削減を達成するなど着実な成果をあげています。

同じく重要課題として掲げる「コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの強化」も、継続して注力すべき経営課題です。社長直轄の組織である内部監査室が内部統制の徹底を図るとともに、法務部門が中心となってコーポレート・ガバナンス・コードや社会的な情勢、ステークホルダーとの対話で得た意見を参考に、随時経営体制のあり方について検討と実施を進めています。
また、サプライチェーンや当社グループ内における人権デュー・ディリジェンスなどにも取り組んでいます。海外売上比率が高い当社としては、海外グループ会社の役員もメンバーとして構成されている「インターナショナル・アドバイザリー・ボード」において、今後の事業拡大に向けた製品戦略や設備投資について、柔軟かつ積極的な議論を進めています。

日本国内のScope1&2における2013年度比の削減目標

DE&I基本方針を策定し、人的資本の充実に大きな力を注ぐ

企業が持続的な成長を遂げていくためには、「人」が原動力となることは言うまでもありません。次代を見据えた基盤構築として、人的資本の充実に大きな力を注いでいます。

2022年8月、その姿勢を明確に打ち出すために「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)基本方針」を策定し、社員と組織がともにイノベーションを起こしながら成長していくための5つの方針を定めました。そして、他社でさまざまな経験と知識を積んだ女性幹部社員をリーダーとして採用し、全社をあげてDE&Iに取り組んでいます。多様性を重視した人的資本への投資という観点から、人事制度の抜本的な刷新や新しい組織づくりなど、すでにさまざまな改革に取り組んでいます。

当社は120年を越える歴史を重ねてきたこともあり、どちらかといえば保守的な風土が残っている感もありましたが、私は、その組織に新しい風が吹き始めていることを今実感しています。男性社員の育児休業取得が大幅に増加したこともその一例でしょう。「人権の尊重、DE&Iの推進」は当社が掲げる重要課題の1つでもあり、そのKPIとして国内女性管理職比率の向上などを設定しています。

しかし、他の重要課題についても同様ですが、このようなKPIはあくまで1つのマイルストーンであり、決して取り組みの目標であってはならないと考えています。私たちが目指すべきものは、これらの実践を通じて成し遂げるべきサステナビリティや資本コストを意識した組織づくりであり、企業としての持続的な成長にほかなりません。機会があるごとにその大切さを伝えることを意識しています。

資本コスト経営を実践していくために、既存事業における組織改革を実施

当社の基盤である印刷インキ事業を強化するために、生産設備の最適化や人員配置の見直しなど、さまざまな改革を進めています。機能性材料事業については市場が拡大している産業用インクジェットインキの分野が伸びており、画像表示材料分野とともにさらなる強化を図っています。

また業界に先駆けいち早く進めてきたグローバル展開においては、各地域の嗜好やユーザーのニーズに合わせた製品のカスタマイズによる最適化を当社の強みとして、積極的に設備投資を行い、地域に密着した事業展開を世界各地で進めています。

資本コスト経営を実践していくために、既存事業における組織改革を実施

長期ビジョンおよび中期経営計画において、「資本コスト経営」を最重要テーマの1つとして掲げています。2023年1月には大規模な組織改革を行い、主要な製品分野ごとに技術開発から生産、販売まで一貫して統括できる組織へと再編しました。現在、事業部ごとにROIC(投下資本利益率)分析を行い、課題を明確に可視化できる体制を整えており、資本コストを意識した事業活動を推進しています。

また、新たな基盤構築のためには、DXの推進も欠かせない施策です。現在、2024年1月の稼働を目指して新しい基幹システムの構築を進めるとともに、滋賀大学との連携のもと、社内でデータサイエンティストを育成しています。新基幹システムで共有する経営データとこれまでの研究開発で蓄積された膨大なデータを、今後はダイレクトかつスピーディーに事業へ活用できる体制づくりに取り組んでまいります。

資本コスト経営を実践していくために、既存事業における組織改革を実施

当社の基盤である印刷インキ事業を強化するために、生産設備の最適化や人員配置の見直しなど、さまざまな改革を進めています。機能性材料事業については市場が拡大している産業用インクジェットインキの分野が伸びており、画像表示材料分野とともにさらなる強化を図っています。

また業界に先駆けいち早く進めてきたグローバル展開においては、各地域の嗜好やユーザーのニーズに合わせた製品のカスタマイズによる最適化を当社の強みとして、積極的に設備投資を行い、地域に密着した事業展開を世界各地で進めています。

長期ビジョンおよび中期経営計画において、「資本コスト経営」を最重要テーマの1つとして掲げています。2023年1月には大規模な組織改革を行い、主要な製品分野ごとに技術開発から生産、販売まで一貫して統括できる組織へと再編しました。現在、事業部ごとにROIC(投下資本利益率)分析を行い、課題を明確に可視化できる体制を整えており、資本コストを意識した事業活動を推進しています。

また、新たな基盤構築のためには、DXの推進も欠かせない施策です。現在、2024年1月の稼働を目指して新しい基幹システムの構築を進めるとともに、滋賀大学との連携のもと、社内でデータサイエンティストを育成しています。新基幹システムで共有する経営データとこれまでの研究開発で蓄積された膨大なデータを、今後はダイレクトかつスピーディーに事業へ活用できる体制づくりに取り組んでまいります。

資本コスト経営を実践していくために、既存事業における組織改革を実施

次なる成長を担う新規事業の創出に向けて、その土壌づくりに取り組む

当社の次なる成長を担う新規事業については、オープンイノベーションの推進や戦略的な投資など、その土壌づくりを進めているところです。例えば、これまで研究開発本部にあった企画開発部門を経営企画本部に移管して、スピーディーに事業を立ち上げられる体制に変更しました。また、米国のグループ会社では2022年5月、印刷インキ関連分野などに関わるスタートアップ企業への投資を目的としたベンチャーキャピタルを社内に設立しています。

新規事業への挑戦においては、既存事業で培ってきた技術との連携を基本にしていきたいと考えています。私自身、これまで研究開発に長く携わり、有望なシーズは数多くあると実感しています。4つのケミカル分野をターゲットとして掲げ、非可食バイオマス原料を用いた新規素材の開発やグループ会社のシークスと連携したプリンテッドエレクトロニクスの材料開発など、すでに具現化しつつあるプロジェクトもあります。

また、社内において研究部による独創的な技術やビジネスアイデアを発表する「SAKATA EXPO」を開催し、さまざまな部門の社員が情報交流をすることで、新しいチャレンジに向けた社員のモチベーションも高まっています。

長期ビジョンの実現を目指し、改革への意志を全社員で共有していく

2023年度は、『基盤構築』と位置付ける中期経営計画CCC-Ⅰの最終年度となります。昨年度は、残念ながら営業利益率が低くなり、結果としてPBRも1倍を割っています。改善に向けて、事業ごとではなく全体の流れの中でポートフォリオを最適配置し、利益体質への転換を図っていきたいと考えています。

既存事業においては、資本コスト経営を実践していくために、現在進めている改革をさらに強化していきます。新規事業についても、事業化に向けた基盤づくりを加速します。2024年度からスタートする次期の中期経営計画CCC-Ⅱでは「事業拡大・収益力強化」をテーマに掲げており、既存事業の拡大とともに、新規事業についてもより具体化した計画を立案していく予定です。

未来を見据えた基盤構築を進め、企業体質を改革していくためには、その意思を全社員で共有していくことが欠かせません。これまでコロナ渦の影響で制約もありましたが、今後は社員と直接対話する機会をさらに増やしていきたいです。また、双方向のコミュニケーションが重要であることについては、社外のステークホルダーの皆さまとの関係においても同様です。以前から、機関投資家の皆さまとの1on1ミーティングを実施していますが、さらにその機会を増やし、ステークホルダーの皆さまの声を経営に生かして、応援してもらえるように努めていきます。

この1年を振り返って改めて強く感じるのは、めまぐるしい変化に俊敏に対応し、フレキシブルかつ自律的に行動できるアジャイルな組織づくりの重要さです。今後もしばらくは先が見通せない厳しい状況が続くと思われます。このような事業環境においても当社の価値を持続的に高めていけるように、サステナビリティと資本コストを意識した経営を実践し、長期ビジョンの実現によって、変化に対応し、変化を起こす企業を目指していきたいと考えています。

長期ビジョンの実現を目指し、改革への意志を全社員で共有していく