トップメッセージ

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サカタインクス株式会社 代表取締役 社長執行役員 上野 吉昭

サカタインクスグループは、2030年を見据えた長期ビジョンにおいて、売上高3,000億円、営業利益率8%、ROE10%の達成を目指しています。その実現に向けた取り組みは第1フェーズを終え、2024年より第2フェーズへと移行しました。

「CCC-Ⅰ」においてアメリカ、アジアが伸長
売上高、経常利益は目標を達成

2021年にスタートした「中期経営計画2023 (CCC-Ⅰ)」期間は、当初想定していなかった外部環境の変化により、大きく利益を下げることもありましたが、最終的には概ね目標を達成することができました。中でもアメリカは大きく利益を伸ばし、事業サイドでのプライシング、プロダクトラインごとの改善など事業構造改革を実行した成果が表れたと考えています。また、アジアにおいては、主力であるインド、インドネシア、タイ、ベトナムの4カ国での販売が大きく伸びました。特に、グローバル企業が多い、タイやベトナムでの販売数量の増加が大きく寄与しました。

一方、日本は情報メディア媒体の減少が今なお続いています。生産体制の再編や同業他社との一部協業といった取り組みも進め、供給責任と事業継続を果たすための効率的な体制の構築を進めています。生産体制の再編や同業他社との一部協業といった取り組みも進め、供給責任と事業継続を果たすための効率的な体制の構築を進めています。需給バランスに合わせる形で供給体制をシュリンクさせており、羽生工場の生産設備の廃却や東京工場における生産インフラの整理などをすでに実施しました。情報メディア事業については、事業構造の変化に合わせた形でニーズを掘り起こし、社員自らが新たなものにチャレンジできる環境を整えていきたいと考えています。

2024年より「CCC-Ⅱ」をスタート
事業拡大・収益力強化に向けて 積極的な投資を実行

2024年1月にスタートした「中期経営計画2026 (CCC-Ⅱ)」は、「拡大」と「安定成長」がテーマのフェーズとなります。最終年となる2026年において、売上高2,700億円、営業利益180億円を計画していますが、特に重視しているのは利益率であり、付加価値の高い製品やサービスで勝負していきたいと考えています。当社グループは、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」をパーパスとしていますが、長期ビジョンの目標で掲げている営業利益率8%は、このパーパスを具現化するための数字であり、その実現に向けて取り組みを進めています。

大きな設備投資としては、ブラジルのサンパウロ新工場を2024年より、また、アメリカのウィスコンシン州ライツタウン新工場を2025年中に稼働する計画です。またDXの取り組みとして、2024年より日本で運用を開始したERPシステムを、アジア各地にも展開していきます。経営や研究開発において蓄積されたデータを、ダイレクトかつスピーディーに事業へ活用できる体制を構築し、新たな価値の創造に向けたビジネスモデルの変革を図っていきます。同時に資本コストを意識した事業活動の推進に向けて、前中期経営計画では、各事業部でROIC(投下資本利益率)による管理に徹底して取り組みました。これにより、各事業領域でどれだけの資本を投下し、利益に転換できているかということが明確になり、また、売掛金に対する回収のタイムラグを短くしてキャッシュコンバージョンサイクルを上げるなど、より資本効率の改善が進みました。今中期経営計画では、実際にPDCAを回していくステージとなります。

「CCC-Ⅱ」では、引き続き
3つの戦略に基づく取り組みを推進

 「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」

パッケージ用インキについては、環境負荷低減へのニーズに対応するため、当社独自ブランドとして展開する「ボタニカルインキ」シリーズなどの環境配慮型製品、脱プラスチックに向けた紙化やリサイクルを意識した製品・サービスの展開をさらに進めます。

機能性材料については、新興国や今後需要が伸びる分野での拡販を目指し、グループ会社間での戦略的なパートナーシップ強化、連携により、グローバルセールスを進めていきます。産業用インクジェットインキ分野では、衣食住をターゲットとした新市場での拡大や、環境配慮型製品の展開を強化していきます。また、顔料分散液をはじめとしたディスプレイ材料では、液晶分野でのシェア拡大とともに、技術応用による新分野への展開、新規製品の開発を進めていきます。

3つの戦略に基づく取り組みを推進

また、グローバルオペレーションの強化に向けて、2024年2月、アジア6カ国の現地法人を統括する会社をマレーシアに設立しました。各国のリソースや情報を集約し、ブランドオーナーとの対話の窓口となり、国ごとの枠組みを超えたアジア地域全体での戦略を策定します。グループ間の連携強化により成長を加速させるとともに、調達力の強化、在庫の削減などを進め、アジアセグメントの営業利益を計画値からさらに引き上げることを目指します。特に競争優位なポジションにあるインドネシア市場でのさらなる成長を実現し、パッケージ領域でナンバー1を目指します。

また、環境対策についてはグローバルな取り組みが必要となってきています。特に先進的な取り組みが進む欧州では、リサイクルやモノマテリアルといった環境負荷低減に関わるさまざまなプラットフォームが構築されてきています。そこにブランドオーナーが関わってくるとなれば、我々もそのプラットフォームに参画し、ブランドオーナーとリレーションシップを持つ必要があります。統括会社を対話の窓口として、お客さま、ブランドオーナーと一体的に連携する方向性を目指し、連結経営の強化に取り組んでいきます。

「CCC-Ⅱ」では、引き続き
3つの戦略に基づく取り組みを推進

 「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」

パッケージ用インキについては、環境負荷低減へのニーズに対応するため、当社独自ブランドとして展開する「ボタニカルインキ」シリーズなどの環境配慮型製品、脱プラスチックに向けた紙化やリサイクルを意識した製品・サービスの展開をさらに進めます。

機能性材料については、新興国や今後需要が伸びる分野での拡販を目指し、グループ会社間での戦略的なパートナーシップ強化、連携により、グローバルセールスを進めていきます。産業用インクジェットインキ分野では、衣食住をターゲットとした新市場での拡大や、環境配慮型製品の展開を強化していきます。また、顔料分散液をはじめとしたディスプレイ材料では、液晶分野でのシェア拡大とともに、技術応用による新分野への展開、新規製品の開発を進めていきます。

また、グローバルオペレーションの強化に向けて、2024年2月、アジア6カ国の現地法人を統括する会社をマレーシアに設立しました。各国のリソースや情報を集約し、ブランドオーナーとの対話の窓口となり、国ごとの枠組みを超えたアジア地域全体での戦略を策定します。グループ間の連携強化により成長を加速させるとともに、調達力の強化、在庫の削減などを進め、アジアセグメントの営業利益を計画値からさらに引き上げることを目指します。特に競争優位なポジションにあるインドネシア市場でのさらなる成長を実現し、パッケージ領域でナンバー1を目指します。

また、環境対策についてはグローバルな取り組みが必要となってきています。特に先進的な取り組みが進む欧州では、リサイクルやモノマテリアルといった環境負荷低減に関わるさまざまなプラットフォームが構築されてきています。そこにブランドオーナーが関わってくるとなれば、我々もそのプラットフォームに参画し、ブランドオーナーとリレーションシップを持つ必要があります。統括会社を対話の窓口として、お客さま、ブランドオーナーと一体的に連携する方向性を目指し、連結経営の強化に取り組んでいきます。

3つの戦略に基づく取り組みを推進

 「新しい事業領域への挑戦」

新規分野への取り組みは、「低炭素社会」「QOLの向上」「快適便利」「安心・安全」の4つの戦略キーワードを軸に当社のコアコンピタンスを活用しつつ、外部とのオープンイノベーションによって進めています。「エレクトロニクス」「エネルギー」「バイオベース・脱石化材料」「ヘルスケア」の4分野において、事業化・収益化につながる有望な製品やサービスを展開し、2026年に新規分野での売上高50億円を目指します。

この4つの柱は私が研究開発本部長を務めている時に立案しました。共通するのは『サステナブル』です。安心・安全かつ環境負荷を低減させるなど、社会課題の解決を目的に、環境バイオ材料を応用し素材や製品、新しいマーケットに対して我々の独自技術を用いた持続可能なソリューションなどの提供を目指しています。また、エレクトロニクスの分野では、我々が事業展開するフィールドの近縁な技術範囲であるエレクトロニクスケミカルにおいて、さまざまな部品の実装工程が今後印刷になっていくということを踏まえ、フレキシブルデバイスの分野に積極的に入っていくことを考えています。2024年1月には、金属錯体(MOD)導電性インクのグローバルリーダーであるアメリカのElectroninks社と業務提携をしました。製品開発での連携を推進し、高機能材料の開発に取り組んでいきます。その他の有力な企業とも協業を通じて、プリンテッドエレクトロニクス分野における当社の技術や材料のプレゼンスを確保しながら、事業を展開していきます。また、エネルギーの分野においては、省エネやグリーンエネルギーにつながる部分、太陽光パネルなどの耐久消費材やエネルギー域にあたる部分について、印刷インキ技術の応用による導電接合材料などの展開を進めています。

 「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」

グループガバナンスについては、海外関係会社の役員もメンバーに加えた「インターナショナル・アドバイザリー・ボード」を設けており、今後の事業拡大に向けた製品戦略や設備投資、M&A、グローバル経営体制の課題などについて議論しています。また、連結経営のさらなる強化に向けて、アメリカ子会社のCEOであるブライス・クリストー氏が、当社の執行役員に就任しました。さらに、各セグメントの担当役員を設けることで、責任を明確化し、資本収益性を向上させるべく、各役員がそれぞれの分野でより強い責任を持って機能していくための体制としました。

昨年には、価値を「創」造し、そして「夢」を語ろうという意味を込め、人事部と総務部を合わせた「人財創夢部」を設置しました。当社グループは持続的な成長と中長期的な価値を創出し、持続可能な社会を実現するための源泉として「人的資本」に重きを置いています。新たな未来を創造し、けん引するべく、社員一人ひとりが「変化・変革」に果敢に挑戦し続けることができるように、人財育成と社内環境の整備に注力しています。また、DEIB*1の取り組みでは、さまざまな人種、年齢、性別、考え方の人々が最大限の能力を発揮でき、そのような思考が生産性の向上や成果につながる組織、風土となることで、初めてDEIBを成し得ます。組織をつくって終わりではなく、多様な社員がより機能できるような仕組みづくりや教育の提供、チャレンジできる機会の提供を継続していきます。さらに社員からの提案が直接、経営陣に届く仕組みづくりにも取り組んでいます。社内調査の結果として、エンゲージメントについては年々満足度が上がっているものの、経営層に届く社員一人ひとりの声はまだ少ないと感じています。タウンホールミーティングなどを通して、私が直接現場に赴き、双方向のコミュニケーションを取る機会なども増やしていますが、もっと多くの声が上がるように改善を進めていきたいと考えています。これらの取り組みは、社内外双方のコミュニケーションおよびブランド構築、浸透を一体的に進める「コーポレートコミュニケーション部」と連携し、変革に向けた取り組みの活性化を図っています。

環境への取り組みについては、GHG(温室効果ガス)排出量削減、SBT認定取得*2、生物多様性におけるTNFDへの取り組みなど範囲が広がっています。Scope1&2におけるCO2排出量については、当社グループ目標として2034年に58.8%削減(2022年比)することを目指しており、生産の効率化や工場での太陽光発電システム導入、省エネルギー化などを推進しています。Scope3の取り組みについては、原材料メーカーなどを含むサプライチェーン全体で議論を進めていきます。また、2023年1月に発効された欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)についても、開示基準を踏まえ、対応していきます。

*1 ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン・ビロンギングの略
*2 パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets」

資本収益性の向上、持続的成長の実現に向けて

政策保有株式については、持分法適用関連会社であるシークスの株式を除くと、総資本の約5%を保有しています。一定の基準を設けて定期的にレビューしており、年々縮減しています。キャッシュアロケーションについては、今中期経営計画の3年間において、事業投資の他M&Aやスタートアップへの投資など、将来に向けた戦略的投資、財務健全性、株主還元のバランスにより資本収益性の向上と持続的成長を目指します。また、IR活動を通じて株主や投資家の皆さんにその実効性と実現性に理解を得ることで、早期にPBR1.0倍以上の達成を目指します。また、株主還元として、「積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得」を方針とし、「総還元性向50%以上、またはDOE2.5%以上のいずれか高い方」を、この中期経営計画期間中に達成したいと考えています。長期ビジョンを達成するには、成長分野や新規領域への投資に力を向ける必要があります。事業構造改革を早期に完了することで優位なポジションを確保し、そして、お客さまに認めていただける高い付加価値を持った製品を生み出すことで、グローバル競争力を高め、ブランディングや企業価値向上に努めていきます。

昨年のタウンホールミーティングにおいて、サカタインクスは今後100年どうやって生き残っていくのかという質問が社員から寄せられました。当社は約130年前に大阪で印刷インキ事業を始めましたが、今や海外売上比率が7割を超えるほどのグローバル企業になりました。アジアや中南米、中東・アフリカなどの人口が増加し経済発展が続く地域では、これからもしっかりキャッチアップして既存事業を広げていくことになります。一方、日本をはじめ先進国などでは、今後、人口が減少していき、印刷インキの需要が徐々にシュリンクしていくでしょう。私は常々、変化、変革をし続けることで、結果的に進化をしていくと考えています。

資本収益性の向上、持続的成長の実現に向けて

今後、我々が生き残っていくためには、高い技術力を必要とするサステナブルな製品展開でシェア拡大を進めるとともに、130年かけて培ってきた基盤技術を応用し、新規事業での拡大を目指すことで、サカタインクスを変化、変革させ続け、進化させていきたいと考えています。

昨年のタウンホールミーティングにおいて、サカタインクスは今後100年どうやって生き残っていくのかという質問が社員から寄せられました。当社は約130年前に大阪で印刷インキ事業を始めましたが、今や海外売上比率が7割を超えるほどのグローバル企業になりました。アジアや中南米、中東・アフリカなどの人口が増加し経済発展が続く地域では、これからもしっかりキャッチアップして既存事業を広げていくことになります。一方、日本をはじめ先進国などでは、今後、人口が減少していき、印刷インキの需要が徐々にシュリンクしていくでしょう。私は常々、変化、変革をし続けることで、結果的に進化をしていくと考えています。

今後、我々が生き残っていくためには、高い技術力を必要とするサステナブルな製品展開でシェア拡大を進めるとともに、130年かけて培ってきた基盤技術を応用し、新規事業での拡大を目指すことで、サカタインクスを変化、変革させ続け、進化させていきたいと考えています。

資本収益性の向上、持続的成長の実現に向けて