サカタインクスはTPM活動を通じて、『革新的な技術力と体質強化により、ステークホルダーに感動を与え、生き残り・勝ち続ける工場』を目指しています。
TPMとは
- 生産システム効率化の極限追求(総合的効率化)をする企業体質づくりを目標にして
- 生産システムのライフサイクル全体を対象とした“災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”など
- あらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築し、
- 生産部門をはじめ、開発・営業・管理などのあらゆる部門にわたって
- トップから第一線社員にいたるまで全員が参加し、重複小集団活動により、ロス・ゼロを達成すること
と定義されています。(出典:日本プラントメンテナンス協会)
そして、現在のTPMは、Total Productive Management「全員参加の生産経営」へと進化しています。
導入の背景
競争の激しい事業環境の中で生き残り、更なる発展を遂げるためには、変化に対して柔軟に対応できる強靭な企業体質を作ることが重要です。
そのためには、市場のニーズに応えた製品を開発・上市するとともに、生産効率の向上を図ることが必須条件です。
これらを実現するには、生産基盤の強化と人財育成が最重要課題と判断し、1998年4月に「TPM活動」の取り組みを開始しました。
活動内容
TPM活動は、生産システムに存在するあらゆるロスをゼロにする活動を通して、人と設備の体質を改善し、企業体質の改善を実現する活動です。生産システムとは製造部門だけでなく、間接部門を含めたビジネスプロセス全体を意味しています。また、ロスとは、現状とあるべき姿の差であり、常にあるべき姿を追求し、ロスの顕在化と改善を進めることが重要な活動になります。そして、当社のあるべき姿として、SDPS(サカタインクス・ダイレクト・プロダクション・システム)の確立を目指して活動を展開しています。
活動経緯と成果
【パートI活動】: 1998年~2004年(TPM優秀賞 受賞)
『業界に誇れる工場』を目指す姿に定め、活動を展開しました。
- 重点課題は、『魅力ある商品開発』『ダイレクト生産ラインづくり』『創造性豊かな人づくり』『人にやさしい職場づくり』
- 推進組織は、工場TPM推進委員会をトップにサークルまでの重複小集団組織で構成
- 活動は、『個別改善』『自主保全』『計画保全』『品質保全』『製品初期管理』『設備初期管理』『教育訓練』『管理間接』『安全衛生環境』で実施
- 活動内容は、『生産性(P)』『品質(Q)』『コスト(C)』『納期(D)』『安全(S)』『環境(E)』『モラル(M)』の指標値で評価
【パートII 1st Stage活動】: 2005年~2010年(TPM優秀継続賞 受賞)
『QCD業界日本No.1工場』を目指す姿に定めた活動を展開しました。
- 重点課題は、『創造的商品開発』『革新的生産方式』『グローバルに活躍する人財』『人にやさしい環境』
- 活動の特徴は、当社独自のスルーネック分析を全面展開し、レス化技術課題の克服に取り組む革新的活動
【パートII 2nd Stage活動】: 2010年~2012年(TPM特別賞 受賞)
『QCD業界世界No.1工場』を目指す姿に定めた活動を展開しました。
- 重点課題は、『マネジメントシステムの構築』『革新的生産方式の実現』『ワールドワイドに活躍する人財』
- マネジメントシステムは、3つの基盤(企業体質・改善体質・維持体質の強化)と2つの条件(人財育成・診断システム)で構成し、永続的に展開できる仕組みを構築
- 革新的生産方式では、「製造工程」の最高効率化と「ダイレクトイン・アウト」における物と情報の一元管理を構築中
- 人財育成では、「自主管理できる人財」から「ワールドワイドに活躍する人財」の増加
【パートIII活動】: 2013年~活動中(2017年TPMアドバンスト特別賞 受賞)
『世界三大インキメーカーの実現』を目指す姿に定めた活動を展開しました。
<重点実施項目>
- ①安全職場の実現
職場に潜むリスクの総点検をし、顕在化されたリスクの低減を進めるとともに、新たに設定した指標値による評価・管理の実施や、安全教育の拡大と充実 - ②マネジメントシステムの実践
「企業体質の強化」「改善体質の強化」「維持体質の強化」の3つの基盤のサイクルを永続的に回すシステムの実践 - ③革新的生産方式SDPSの確立と展開
当社の活動の特徴である「スルーネック分析」を活用して、あるべき姿を明確にし、最高効率の生産体制「サカタインクスダイレクト生産方式(SDPS)」の確立と展開 - ④人財の育成
「世代交代につながり、安全衛生に強い人財」「ワールドワイドにマネジメントできる人財」「変動に強い生産体制に対応できる人財」の育成 - ⑤海外への展開と経営への貢献
重要度が高まっている海外事業所の利益改善、経営への貢献を目的としたTPM活動の支援・推進
【これまでの成果】
- 労働生産性の向上、設備故障件数の減少、クレーム件数の減少、製造リードタイムの短縮、休業不休業災害の発生防止、CO2排出量原単位の削減、廃棄物リサイクル割合の向上
- 機械保全技能士・自主保全士資格は、全対象人員の99%が取得するとともに、変動に強い生産体制に対応できる人財の増加
- 「得意先」や「TPM活動企業」の工場見学の増加、「家族を招待した工場見学会」を定期的に開催
海外展開
国内工場で成果を上げているTPM活動を、海外の事業所にも効率的に展開すべく、2005年に北米のエドワーズビル工場をモデルとして導入を開始しました。
また、2011年からは北米の各主力工場に水平展開を行うとともに、成長著しいアジア地域でも相次いでTPM活動を展開しています。
2005年 | 米国INXにて、カンザス工場がTPM活動を開始(2010年に優秀賞を受賞) |
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2011年 | 米国INXにて、TPM活動を他の主力工場に水平展開開始 |
2012年 | 中国広東省茂名工場にて、TPM活動開始 |
2013年 | インド、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムにて、TPM活動開始 |
※TPMの商標、ロゴマークは、日本およびその他の国における公益社団法人日本プラントメンテナンス協会の登録商標または商標です。